搭載してからその後ちょいちょ変更入れたのと、記事を見てもどうやってN-VANに搭載したのかさっぱり分からない内容だったので、改めて書き直し。
全体構成について

左上から順に説明すると、まず走行充電はシガーソケットから取ってます。普通はバッ直やらオルタネーターから取るらしいんですが、エンジンルームから車内に導線したりと配線が大変。シガーだと15Aまでしか取れませんが、そんなに頻繁に充電が必要でも無いのでこれでいいやろ…と。
各配線は、取り外しや交換を考えてEC3/EC5コネクタで切り離せるようにしています。電流容量的にEC2でも足りる箇所もあるんですが、EC2コネクタ小さすぎてちょっと太めのケーブルの被覆が入らないんですよね…。
走行充電器からバッテリーへ充電する所がEC5で一回り大きいのは、出先で発電機使って35Aの100V充電器で充電出来るようにするためです。ヒューズの定格がちょっと足りてませんが、実用上はまぁまぁ。
あとは、インバーターとは別に13.8Vを常時給電で取り出せるコネクタを用意。ほぼポータブル冷蔵庫専用となってます。ポータブル冷蔵はACアダプタ経由で100Vでも動くんですが、ACアダプタの効率があまりに悪かったのでDC取れる経路を追加。
実はこの構成、バッテリーからインバーターまでの経路にヒューズがありません!スペースが無かったんす…。リチウムイオンバッテリーのBMSに過電流制限があるとは言え、ちゃんとヒューズ入れましょう。(実はBMSの過電流保護のほうがヒューズより感度が良い…)
電線の太さとコネクタの選択について
コネクタも電線も、一般的に言われている許容電流からすると大きめかも?
単線だと1SQあたり20Aくらいを謳っている資料もありますがあくまで「許容電流」で限界値。実際に流してみると、安全上の問題は無い範囲とは言えかなり電線が発熱(ロス)します。10A/SQ位でもいいんですが、余裕を見て5A〜8A/SQくらいを目安に。
コネクタも同様で、例えばEC3の許容電流50Aと謳われてますが、実際に35Aほど流してみたら結構な発熱(+20℃くらい)がありました。パワーロス考えると許容電流の半分以下で使うのがよさげ。まぁ「許容値」というのは壊れないギリですから。
シガーからの分岐について

N-VANのシガー裏を下から覗くとこんな風に平形端子で接続されています。ここに2股分岐になるハーネスを作って割り込ませます。
一応、元から有るシガーソケットにも給電されますが、基本的に使用禁止。充電中にシガーソケット利用したら、間違いなくヒューズ飛びます。
走行充電器の設定と接続
目標値はシガーからの取得は15A以下になるように、充電電流は10A以下。
Renogyの20A走行充電器、そのままだとシガーソケットの容量超えてしまうのですが、電流を半分にする設定が可能なので、それを使って10Aに設定します。10Aの走行充電器って容量が小さすぎて中々無いんですよね…。

電源側は本来は常時給電/バッ直から取る物ですが、シガーから分岐した経路に接続します。そして起動制御のACC端子はツェナーダイオード挟んでシガーの電源を繋ぎます。これで起動ちょっと遅れるかな…と。今のところエンジン始動直後にでおかしな動きしたり、走行充電器の始動でヒューズ飛んだりはありません。

設置は助手席シート下。定番の収納スペースです。後部座席使う場合は足置きとなるスペースなので、実質的に後部座席封印です。
バッテリー/インバーター/電流検出器の納め方

N-VANの運転席シートの下には結構なスペースがあります。そのスペースを生かすように電池とインバーターを格納。ここも助手席と同じく、後部座席の足置きスペースです。
バッテリーの上には曲げたプラ板(透明)を覆い被せて絶縁と保護。インバーターの筐体にもプラ板を曲げて貼付けて、電池端子と短絡しないようにしてます。まぁギリギリですけど。

プラスマイナスの端子部の拡大がこちら。+端子の周囲が−配線とごちゃごちゃしてちょっと危ない…。後で整理しよう。−側は最短配線になるよう数cmのケーブル作ってます。
電池のサイズは問題無いんですが、インバーターがギリでした。最初はサイズからRenogyの1,000W(旧モデル)使っていたんですが、1,000Wギリギリで使ってたら保護回路が働くこと無く本体死亡。それに1,000Wで使うと電圧が90V近くまで下がる弱さもあり、ちゃんとしたメーカーのCOTEK製インバーターに替えました。
電池/電流検出器/インバーター間の配線は、電線の取り回し考えてぴったりの長さに。あと各単線は外から更にコルゲートチューブなどの被覆を被せて、必ず2重絶縁になるようにしましょう。電線の被覆だけだと振動で擦れたりで被覆が簡単に裂けてショートする恐れがあるので。
今のところサイズ的にほんとうにギリギリ。本当は1,500Wが欲しいけれども、ちゃんとしたメーカー製でこのスペースに収まる1,500W品は見つけられませんでした。
インバータの選択について
こちらでもちょっと触れましたが、安いインバーターは安いなりの理由がある訳です。思いつくところで、だいたいこんな問題があります。
現象 | 原因 |
---|---|
1. 定格表示にある電力で使えない | a.定格の70~90%くらいで、保護回路が動作して止まる。 |
b.動くけど、しばらく使っていると内部が焼けて壊れる。 | |
c.突入電流に弱く、動いたり動かなかったりする。 | |
2. 電熱器具の出力が思ったより低い | 電圧安定が弱く、無負荷では100Vあっても負荷を繋ぐと電圧がどんどん落ちる。 |
3. 繋いだ機器が壊れた | 海外の110V仕様そのまま、かつ電圧ばらつきが大きく120Vくらいでている場合。 |
4. 定格を超える負荷を繋いだら壊れた | 保護回路の設計不良、またはそもそも保護回路が無い。 |
5. 夏場使ったら壊れた | そもそも廃熱能力が弱い。室温でしか評価していない。過熱保護が無い。 |
6. しばらく使ったら壊れた、寿命が短い | 内部の構造が、自動車積載を前提とした対策が取られていない(振動・粉塵)。 |
7. 待機電力が大きい | 必要以上に出力の大きいインバーターを使うとある程度は仕方が無いが、異様に待機電力が大きいものや、そもそも効率の悪いインバーターもある。 |
前のRenogyのは1-b/2が該当でした。たぶん4も該当しそうです。現行品はどうか分かりません。
不安ならCotekや電菱(一部CotekのOEM)の買えば安心です。ただ値段の差がかなり大きい。どうしても、尼に氾濫している中華インバーターを使いたいのならば、それなりのリスクを負う前提です。
1kWhクラスのポータブル電源も今では安くなりました。ただやっぱりインバーターの性能がピンキリ…。また、自動車内に積みっぱなしを想定した設計にはなってないように思います。
軽自動車なんで大したスペースもなく、そんなに色々積めませんが、やはり車内でいつでもAC100Vが使えると言うのは便利です。