紅殻のパンドラ06

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六道神士風味でおちゃらけてるけど,話の芯はちゃんんと士郎正宗。ネネが電子ネットワーク世界を自らの知覚として認識する過程で,全身義体を訓練するエピソードが出てきて「元のからだの動かしかたは忘れて下さい。もとからはない部分を動かすと思って」とか,そっから,ネットワーク世界を「感覚」として感じる表現のところが絵的には陳腐だけれども,話の流れとして個人的には鳥肌物でした。
士郎正宗ってアップルシードの時から「テクノロジーによって,ヒトの能力は何処まで拡張できるか?」というテーマに基づく描写が多かったです。
個人的にも「今まで理解していなかった感覚」というのが感じられるようになるのが,とても興味がそそられ,かつ気持ちいい。それは運動能力的な物に限らず,分析的能力にしても同じ。
例えば,有る分野に対する知識が乏しい状態では,その分野の一つ一つの結果に対してなかなか理解がすすまない。けれど,かたっぱしから調べまくって「点」の知識をいっぱいたぐり寄せていくウチに,ある地点を越えるとそれらの「点」の知識が,バババッて繋がって全ての関係が総体として理解できる瞬間がやってくる。それがとても気持ちいい訳で。
物理的な何かの操作にしても同じ。バイクの運転も然りで,特にオフロード走行で最初はデコボコを越える度に体が振り回されて「こう走りたい」と実際の走りが乖離しすぎてどうにもならなかったのが,やがて自然と体が動くようになって「ここはこうしよう」「あそこはこう振る舞おう」というのが,意識と実際の体の動きが一致してくるのがとても気持ち良い。
主人公のネネが電子ネットワーク世界を理解する過程と「新しい感覚を理解する」というのが,まさにそれらに相似していた訳で。
萌やらなんやらで脚色されつつも,士郎正宗の探求する「何か」は,変わらず息づいていることを再確認出来ました。

3月のライオン10

3月のライオン 10
世界で一番怖いものは?って訊かれたら「人」って即答する。
巻末近くで,優男風で常ににこにこした人が出てくるんだけど,会話の一つ一つを追うほどにとても怖くて仕方が無い。暴力ととか威圧とか,直接的な被害による恐怖ではなくて「こちらの常識が通じない」「なのに人に強く干渉しようとしてくる」という得体の知れない怖さ。
よくこんな怖い人を書き切ったもんだ,と関心。

アルテ 1

アルテ 1
表紙では無く扉絵から。この扉絵がポスターになって書店に貼られていて,それを見て「読みたい」と思った。事前には全く知らなかったし,初めて見る作者なのに。一方で表紙絵はイマイチだったんだけど,内容はアタリ。
中世を舞台にした,画家を目指す女の子の話。しっかりと歴史考証された緻密な舞台,常識と呼ばれる世界の矛盾を付く視点(女性の視点),どっちも大好物です。

買ったものまとめ

『ギリギリアウト1』(ソウマトウ)

女の子が我慢しきれずに漏らす話。同系?の「いいなり! あいぶれーしょん」が強烈すぎて,いまいちインパクトに欠けてしまった感じ。
『女の子が死ぬ話』(柳本光晴)

単行本2冊分くらいありそうな厚みで,たっぷりの量の読み切り。死ぬまでと死んでからの話が半々くらい。話にタイトルほどの意外性は無いけれど,淡々ながらも緻密な感じの描写。嫌いじゃ無い。
『おまえはまだグンマを知らない1』(井田ヒロト)

絵は勢いあるように思うんだけど,読んでみると肩すかし感。残念。
『月の珊瑚1』(佐々木少年)

買ったのはコミックのみ。コミックとセットの坂本真綾の朗読CDが出てて不思議に思ったけど,どうやら朗読の付録がコミックっぽい。確かにこの内容は朗読でじっくり聞いてみたくなる,そんなお話。
『魔法使いの嫁』(ヤマザキコレ)

あー,あー,あー。久々のアタリかも。世界観やら緻密な絵やら癖のある登場人物やらストライク。話毎の扉絵が,ラノベ全盛以前のファンタジー系ジュニア小説の挿絵を彷彿とさせてる感じがまた良い。それでいてセカイ系じゃなくてちゃんと人と人(および人外)のお話。
『ちーちゃんはちょっと足りない』(阿部共美)

「ちーちゃん」というかなり足りてない感じの子が出て来て主人公っぽいんだけれども,実はちーちゃんといつも一緒に居てちーちゃんを気遣っている,普通に見えるけど実は普通からちょっと足りなくて自覚もしてて苦悩してるんだけれども周りからは普通と区別付かなくてその苦悩にも気付いてもらえないというさらに苦悩,みたいな。阿部共美いいわぁ,ダークで。