3Dプリンターのフィラメント材料についての考察

データは、bambulabのこちらから。価格は尼でだいたいのところ。

調べ直してみると、色々誤解もあったようで、ちょっと自分用まとめ。

各材料の基本特性について

一般的に、材料の強度(割れにくさ)は衝撃強度(瞬間的に力を加えた時)で見ます。改めてみるとZ(積層方向)軸の強度ってかなり弱い。一般的な材料強度で言えばABSやASAは強い部類のはずなのですが、3Dプリンターでは積層方向の接着が弱く、結果として硬くて脆いはずのPLAにも劣っています。

曲げ強度はゆっくり力を加えた時に破断するまでの強度、曲げ弾性は値が小さいほどよく曲がることを示します。

PA6-CFやPA12-CFは論外として、ABSのような「そこそこしなって割れにくいプラスチック」を求めるなら、耐熱温度69℃が許容できるならばPETGのほうが良さそうに見えます。しかも安いし。

PETGはPLAと比較してもコスト的にほぼ同等かやや高いくらい。プリントのしやすさも吸湿の影響を受けやすいという点以外は、収縮も少なくプリントしやすい材料のようです。あれ?PLAいらなくね?

あと、CF(カーボンフィラー)やGF(ガラスフィラー)は、添加することで硬くなりますが、衝撃強度としては低下する方向、特に層間強度がガタ落ちするので補強の意味合いは薄いみたいです。あくまで「硬く」なるだけ。PAがフィラー入りでもそこそこの衝撃強度があるのは、元々の特性がフィラーとの相性が良いのかもしれません。

あと、フィラーのメリットとして、プリント時に収縮が抑えられるので、プリントしやすくなる・・・というのはあるようです。PAの場合は、逆にフィラーがないと収縮が酷くてまともにプリントすることすら難しいみたいです。

因みに、CFはカーボンなので黒しか選べません。GFだとカラー選べますが、あらゆる特性がCFの劣化版で、ちょっとイマイチかなーという感じ。

耐候性について

屋外利用の耐候性(劣化)について、紫外線と加水分解を分けて考える必要があります。また劣化の速度についても、使用中の温度によって大きく異なります。

金型を使う通常の工業製品では、耐候性の目的としてABSの代替にASAを使用することが多いのですが、こと、3Dプリンターにおいては、ASAの層間強度の低さが目立つのでちょっと躊躇します。

ABSは紫外線で劣化すると言われていますが、工業製品では様々な添加剤があって、それらを混ぜることによってある程度耐久性を向上させています。劣化の程度が一定以下ならば、問題がないと見做せるわけです。(フィラメントにどの程度添加剤が含まれているか分かりませんが・・・)

ASAが原理的に耐候性に優れるのは間違いないのですが、かといって他の材料が屋外で「使い物にならない」レベルか?というとそうとも言い切れません。ネットで見ただけではイマイチ情報が不足しています。数年ならもつのか?それとも数ヶ月なのか?という程度のはなし。

PLAでプリントした制作物が、屋外で劣化して割れたりする事例はよく見かけるのですが、それ以外のPETGやABSについての劣化の情報があまり見当たりません。(数年程度では変化がわからなかった・・・とか)

というか、同じPLA/PETG/ABSという材料でも、メーカーによって添加物の種類や量は異なっているはずなので、それらが一様に同じ耐候性とも限りません。

まぁ数年もてば「こわれたらまたプリントすればいいや」というのが許容できる用途なら、ASAにこだわる必要はないのかもしれません。

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