諸般の事情?によりTorp TC1000 Controllerを導入しました。Controllerとはなんぞや?というとMotor Controler。エンジン車でいうキャブみたいなもんですかね?
ストックのバッテリーとモーターで、19kWまで出力が上げられるという触れ込みですが、実際に上げてみた方のお話だと、35℃の真夏で10分もすると加熱保護が働いて保護モードに入りゆるゆるとしか走らなくなるとか。このクラスの電動バイクの出力上限が12.5kWあたりなのは、空冷の限界なのかもしれません。
で、このコントローラー、色々な設定ができるのはいいんですがまともなプリセット情報が無いんです。買って、自動キャリブレーションして、とりえず走るんですがなんだこりゃ?なパフォーマンスしか出ない。
そんなわけで、設定の方向性としては最大出力はあんまり上げずに、それ以外のフィーリングに関して設定していきたいと思います。
TC1000の設定値について
スマホアプリでBluetoothから接続して設定を変えられます。細かい説明は割愛して、それぞれの設定画面の設定値についてわかる範囲で解説していきます。
出力関係
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
とりあえずBattery:の設定をStockにしとけば、ぶっ壊す恐れは無さげ。
BatteryCurrentにより最大出力が決まります。トルクとかとは別で、単純に最高速度の伸びだと思っていいです。
そして、MotorCurrentでトルク感というか回転の立ち上がりの鋭さが決まります。最大の800Aにしとくと実質無制限ですが、それはそれでトルクがありすぎてオフロードではタイヤが空転しやすく、ちょっとだけ制限かける感じの方が良いです。700Aとか600Aとかにすると明らかにトルクが絞られてちょっと物足りない感じでした。
画面の上部タブからわかる様に、Sport/Eco/Dairyのそれぞれのモードごとに設定が可能で、SportsとDairyに晴れマップ・雨マップ的な設定を割り当てることができます。
あとまだ未検証ですが、Ecoモードの設定いじれば電池残量20%切った時の、強烈なEcoモードの制限を緩和することもできるかもしれません。ただあんまりやりすぎるとバッテリーにダメージ入る可能性あるんでほどほどに。(残量の少ないバッテリーから無理やり電力を引き出すことになるんで)
スロットル
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
これが今回のネタの本題。出力設定はあくまで「最大出力」の設定なんで、実際の操作フィーリングはこっちが大きく影響します。
初期設定ではむっちゃソフトというか物足りなさすぎる感じです。Throttle responseがSmooth最大になってて、操作に対してかなーりダルな感じ。
で、かと言ってAggressiveMaxに振るとえらいことになります。そもそもモーターはICEよりレスポンスがかなり良いので、すこし訛らせてようやくニンゲンが扱える代物になる感じ。
そんなわけで、ふつうはThrottle curveとThrottle responseを組み合わせて調整すると思うんですが、実はもう一つパラメーターがあります。
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
これはThrottle carlibrationの設定で、普通はアプリの指示に従って初回のセットアップで、自動的にキャリブレーションされた値が設定され、本来はmin:0.6Vでmax:2.98Vぐらいになっているはずです。
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
UltraBeeの電子スロットルは、全閉0Vからじわじわ開けていくと、いきなり0.6Vに跳ね上がってから緩やかに全開時の3Vの向かって電圧が上がっていきます。
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
普通に自動キャリブレーションすると、0.6Vを0Vと読み替えて「とても滑らかな」特性にしてくれます。
いやね、でも滑らかすぎるというか、アクセル開け始めの立ち上がりがマイルドすぎ。これでどうやってフロントアップとかするんだ?って感じ。
![](https://www.caspernet.net/~wata/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
そこで、Throttle calibrationのmin値を、0.6Vではなくそれより低い電圧を設定します。すると、アクセルの開け初めで0.6Vに跳ね上がった時、コントローラーはそこを起点に0%からじわじわ出力を上げるのではなく、いきなり5%とか10%のモーター出力を出してくれる様になります。こっちのほうがしっくりくる。
要はminの電圧を0.6Vから下げれば下げるほど、開け始めのパワーが増えます。ただあまり下げすぎて0Vって設定すると、設定アプリをBluetoothで繋ぐたびにキャリブレーションがおかしいってWarningがでて操作ができなくなったりします。(アプリ繋がなかれば問題なし)
これっていわゆる「ドンツキ」なんですが、電動の場合はドンツキを理想的に完全に無くしてしまうことも出来る一方で、全くドンツキのないレスポンス特性というのは違和感しかなかったりするわけで。
そういうこともあり、純正の電子スロットルは滑らかに0~3Vを変化するのではなく、0V~0.6V~3Vという挙動になっているのかもしれません。純正の「違和感なく操作できる」というのは、相当にスロットルフィーリングを練り込んでいたであろうことが、実際に自分でやってみて分かりました。
このあたり、経験の浅いメーカーの中華EVバイクだとかなり雑なんですよね。カタログスペックではわからない領域。そういうあたりもSur-ronは割としっかり作り込んでいる様に思います。