スターバックスの缶コーヒーなるものを見つける。飲んでみると確かにスタバの香りがする。でもアイスなんでそもそも香りが弱い。
人の味覚とは舌で感じるものと香りで感じるものの総合なんですが、冷たいものはそのどちらも弱くなってしまう。なのでやっぱりコーヒーを味わうにはホットだな・・・と思いながら暑いのでアイスを飲んでたりします。
西洋・東洋問わず多くの国々では冷たいものはそもそも忌避されています。衛生的な意味合いもあって。しかし、不思議なことに日本には冷たい[食べ物|飲み物]が溢れています。実はアイスコーヒーも日本発祥だとか?
一体いつから日本で冷たいものが好まれるようになったんでしょうね。冷たい食べ物というと「ざる蕎麦」が思い当たりますが、調べてみるとざるに上げたりしてたことは記録にあるんですが、水で締めるのがいつからそうしてたかが良くわからない。
中世日本の井戸
そもそも「冷やす」といったって冷蔵庫が存在しない中世では、冷やす手段というと井戸水くらいではないだろうか。山手には「氷室」なるものがあったけれど、街から遠すぎて街中に着く頃にはすでにぬるくなってたとか。
ではどこもかしこも井戸水で涼を取っていたのか?というとそうでもないらしい。江戸時代の街中の井戸は「上水井戸」というもの。調べていて初めて知ったのだけれども、江戸の街にはすでに「上水道」が存在しました。きちんと水質管理されたものではないけれど、川の水を地下水路を作って街中に巡らせ、その水路よりもちょっと深めに竪穴を掘って上水井戸としたそうな。
そもそも「ちゃんとした井戸」というのは地下の岩盤のさらに下にある帯水層まで掘らないと地下水を得られなくて、それはそれで大変な工事だったとのこと。そんなものをいくつも作るわけにいかないので、江戸の街では主に「上水井戸」が使われていたとか。
しかしこの上水井戸、元は川の水、そんなわけで夏場そんなに冷たいものでもなかったそうで。なので「井戸水で冷やす」というのはそう簡単な話ではない。
冷や水売り
では中世(江戸時代)の日本では、夏場冷たいものはなかったのかというとそうでもなく「冷や水売り」というのが居て、冷たい水に砂糖や白玉を入れて売り歩いていたと。今でいう清涼飲料水に等しい。
ではその「冷たい水」はどこから仕入れていたのかというと、それこそが「本来の井戸」らしい。街中には上水井戸が張り巡らされていたけれど、郊外やちょっと僻地になると上水井戸の水路がそもそも来ていなくて、仕方なく本来の井戸を使っていたと。
ただ「本来の井戸」は水質があまりよろしくなくてイマイチだったらしい。そんなわけで、ふだんは街中の「上水井戸」から汲んだ水をそういう地域に対して売り歩く「水売り」から水を買っていたとか。
そして夏の間はその水売りは、逆に井戸の冷たい水を汲んで、街中に行って「冷や水売り」として売り歩いたと。元々水質のよろしくない井戸水なので、当然腹を壊すこともある。そこから「年寄りの冷や水」という言葉が生まれたとか。
冷たいものは旨い
そんなわけで、多くの国々で食中毒を避けるため冷たいもの・生物を避けていたというのに、江戸時代の人々にとって「暑い時に、冷たいものは旨い」という文化は行き渡っていたようで。
食あたりの不安はないのか?とも思うけれど、なにせ、生魚で多くの食中毒が発生して幕府が生食禁止令を出したら、表面だけ炙って「これは生ではない」と屁理屈捏ねて食べ始るような民族ですから(タタキの発祥)。