韃靼そばとルチン

「息を吐くように嘘をつく」、そんな言葉がピッタリに思える、韃靼そばとルチン界隈。

発端はと言うと、スーパーで賞味期限間近なそばつゆが特価で売ってたので、ちょっと蕎麦が食べてみたくなったな…と。そして冷凍の蕎麦を買ってみたんですが、それがあまりにも美味しくなくて(蕎麦の香りが全くしない)、その不味さの理由を色々調べてたら見つかったのが韃靼そば。(その冷凍蕎麦が不味かったのは、韃靼そばと無関係です)

なんとなく聞いたことはあるけど食べたことは無いなぁ…って思って調べてみたら、植物としての「ソバ」とは別種の「ダッタンソバ」という品種で、ソバよりもより高地・寒冷地で育ち、独特の苦みがあるとか。ほとんどが北海道で栽培されているとのことで、通りで聞いたことがあった訳です。

最初は「苦蕎麦」として売り出していたようですが、市場にあんまり受け入れられなかったようです。

そこで、ダッタンソバには普通のソバに対してルチンが100倍ほど含まれれて居ることに注目して健康食品として売り出すようになった様です。(ルチンは健康に良いらしい、その真偽についてはとりあえず触れない)

ルチン100倍の嘘

韃靼そばの苦みは、自身のもつルチン分解酵素にてルチンが分解されて出来たクェルセチンによってもたらされます。そして韃靼そば自体は、元々は豊富にルチンを含むんで居るのは間違いないのですが、実際にはルチン分解酵素によって、

ルチン分解酵素が失活していないダッタンソバ粉から製造された乾麺、生麺ではルチンがほとんど含まれていない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ダッタンソバ

だそうな。

全ての韃靼そばが嘘つきというわけでは無くて、ルチン分解酵素を少なくしてルチンが残るようにした品種もあるようですが、それもごく一部、のようで。

満天きらり

従来の品種「北海T8号」と比較して、苦味が弱く良食味で、また加工食品のルチン含有量が極めて多いため、新規食品開発による地域産業の活性化につながる品種として活用できる。

ソバ粉のルチン分解活性が極めて弱いため、結果として麺のルチン含有量が多くなる。

https://www.naro.go.jp/collab/breed/0100/0104/043917.html

そば湯は(ルチンが溶け出しているから)飲むと体に良い、の嘘

ルチン自体はダッタンソバに限らず、普通のソバにも十分な量(蕎麦1食=1日の所要量)が含まれています。まぁそば湯にはルチン以外の成分も含まれているので、一概に効果が無いとは言わない。

しかし、ルチンが水溶性だとかそば湯に溶け出しているというのはかなりの嘘っぽい。そもそも天然のルチンは水に殆ど溶けない。

天然ルチンは、抗酸化作用、色素の酸化防止効果があるにもかかわらず、溶解性が悪いため用途が限られていたので、酵素処理技術により、ルチン抽出物の12,000倍溶解度が高い「α-グリコシル-ルチン」が開発され、水溶性を大幅に高め、飲料、食品、機能性食品、化粧品などに利用されるようになりました。

「ルチンは水溶性なので、せっかくの成分が溶け出てしまいます。
そば湯を飲むことでルチンを摂取してください。」という説明をよくみますが、水溶性のルチンは食品添加物に利用される「α-グリコシル-ルチン」です。

https://hiryu.biz/eiyo/eiyo-019.html

全部が全部とは言わないけれど、健康食品界隈って嘘がエグい。とある記事では、

  1. そば湯には豊富なミネラルやタンパク質が溶け出している。
  2. 蕎麦にはルチンが含まれていて、それは健康に良い。
  3. だからそば湯を飲もう(ルチンがそば湯に溶けるとは一言も言わない)

みたいな、スレスレの表現もあったり。

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